「マイルスを聴く?」②・・・マイルスの歴史をザクッと眺めてみる。

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今夜のBGM・・・ CHARLIE PARKER / THE SAVOY RECORDINGS -MASTER TAKES-

さて、「マイルスを聴く?」2回目にして、いきなりマイルスではなくチャーリー・パーカーのアルバムが出てきたのでズッコけた人もいるかと思います。

この企画では、マイルスの歴史をアルバムを通して辿っていこうと思ってますので、やはりマイルス最初期の、いちサイドメン時代の録音から始めたい!というわけでこのアルバムの登場です。

ちなみに、わたしの持っているこのアルバムは廃盤になってますが、これと同じ録音は全て現行CDの「バード/サヴォイ・レコーディングス(マスター・テイクス)」に収められていますので、リンクはそちらに繋がってます。



ところで、マイルスが1945年にレコード・デビューしてから1991年に亡くなるまでの、50年近くに及ぶ活動の歴史を、ザクッと(ほんとにザクッとね)表にまとめてみましたので御覧下さい。(異論もあるとは思いますが、大目に見てください。)



     マイルス活動年表 (大ざっぱヴァージョン) 作成:カナ


45~49年 バップ期(修行時代)

主な共演者 チャーリー・パーカー(as)、バド・パウエル(p)、マックス・ローチ(ds)

49~50年 クールの誕生期

主な共演者 リー・コニッツ(as)、ジェリー・マリガン(bs)、ジョン・ルイス(p)、タッド・ダメロン(p)
主要アルバム 「クールの誕生」(49-50年)、「パリ・フェスティバル・インターナショナル」(49年)

51~57年 ハード・バップ期

主な共演者 アート・ブレイキー(ds)、ソニー・ロリンズ(ts)、ジャッキー・マクリーン(as)、ジョン・コルトレーン(ts)、ポール・チェンバース(b)、レッド・ガーランド(p)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
主要アルバム 「ディグ」(51年)、「ウォーキン」(54年)、「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」(55-56年)、「ing4部作」(56年)

58~64年 モード・ジャズ期

主な共演者 キャノンボール・アダレイ(as)、ビル・エヴァンス(p)、ウィントン・ケリー(p)、ハンク・モブレー(ts)、ギル・エヴァンス(arr)
主要アルバム 「マイルストーンズ」(58年)、「カインド・オブ・ブルー」(59年)、「スケッチ・オブ・スペイン」(59-60年)、「サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム」(61年)

64~67年 黄金のクインテット期
主な共演者 ハービー・ハンコック(p)、ウェイン・ショーター(ts)、トニー・ウィリアムス(ds)、ロン・カーター(b)
主要アルバム 「E.S.P.」(65年)、「マイルス・スマイルズ」(66年)、「ネフェルティティ」(67年)

68~75年 エレクトリック・マイルス期

主な共演者 ジョー・ザヴィヌル(key)、チック・コリア(key)、ジャック・デジョネット(d)、ジョン・マクラフリン(g)、キース・ジャレット(key)、ピート・コージー(g)、アル・フォスター(ds)、マイケル・ヘンダーソン(b)、エムトゥーメ(per)
主要アルバム 「イン・ア・サイレント・ウェイ」(69年)、「ビッチェズ・ブリュー」(69年)、「オン・ザ・コーナー」(72年)、「アガルタ」、「パンゲア」(75年)

76~79年 活動中止期



80~91年 復活期

主な共演者 マイク・スターン(g)、ビル・エヴァンス(ss)、マーカス・ミラー(b)、ジョン・スコフィールド(g)
主要アルバム 「ウィ・ウォント・マイルス」(81年)、「ユア・アンダー・アレスト」(84-85年)、「TUTU」(86年)




それで、注目して欲しいのは、「主な共演者」のところです。このオールスター・キャストの凄いこと!

要するに、マイルスのアルバムを聴いていき、そのアルバムに参加しているミュージシャンでお気に入りができたら、そのミュージシャンのアルバムに手を伸ばす・・・そのようにしてジャズを聴いていけば、ジャズ史全体が俯瞰できる!スイングとフリー・ジャズ以外は大体わかる!というわけなのです。(フリーだって、コルトレーンのアルバムを聴いていくうちにブチ当たる!)

これは中山康樹氏によると「イモヅルの法則」というそうですが、もう少しスマートに、「マイルス・ファミリー・ツリーの法則」と呼びたい。




で、このアルバム「チャーリー・パーカー・オン・サヴォイ~マスター・テイクス~」です。マイルスはこのアルバムの収録曲ほぼ全曲に、トランペットで参加しています(⑥「コ・コ」のみディジー・ガレスピー)。ドラムは全曲、マックス・ローチ。

①~⑥は、「チャーリー・パーカー・リバッパーズ」としてのセッション(45年)。この時マイルス若干19歳。「坊やマイルス」です。ビ・バップのスーパー・スター、天才チャーリー・パーカーと渡り合うには、いかにも頼りない。(パーカーは当時25歳)
しかし何か光るものを持っていたからか、マイルスはパーカーに気に入られ(実家が裕福だったマイルスに金をたかるため、という説もあり)、うまいことこのグループのレギュラーメンバーとして定着します。

⑦~⑩は、「チャーリー・パーカー・オールスターズ」としてのセッション(47年)。ピアノはバド・パウエル!2年の歳月を経て、マイルスのトランペットの響きも実に力強くなっています。録音状態も良くなったせいもあり、パーカーのソロは鬼気迫る凄さ!

そして注目すべきは、⑪~⑭のセッション。これは「マイルス・デイヴィス・オールスターズ」として、つまり初めてマイルスがリーダーとなったグループでの録音です。パーカーはサイドにまわって、珍しくテナー・サックスを吹いています。
ここでの4曲はすべてマイルス作曲によるもの。作曲家・マイルス、デビューです。マイルスのソロも、あのミュートによるクールな感覚など、徐々にマイルスらしさを発揮してきており、何より初めてのリーダー・セッション、はりきり具合が違います。


でもやっぱり、このアルバムで聴くべきは、パーカーの天才的なアドリブ・ソロでしょうね。テナーを吹かせても凄い。パーカー絶頂期の、まさに天才のヒラメキというべき、凄まじいスピード感に溢れたソロは、このサヴォイでのセッションと、ダイアルでのセッションにすべてが焼き付けられています。パーカーで聴くべきものは、他には枯れた味わいの「ナウズ・ザ・タイム」ぐらいでしょう。あとはよっぽどのマニア以外はスルーして構わないと思います。



そしてマイルスが本領を発揮するのはいよいよ次回から。


「チャーリー・パーカー・オン・サヴォイ~マスター・テイクス~」収録曲
1.ウォーミング・アップ・ア・リフ
2.ビリーズ・バウンス
3.ナウズ・ザ・タイム
4.スライヴィング・フロム・ア・リフ
5.ミアンダリング
6.ココ
7.ドナ・リー
8.チェイシン・ザ・バード
9.シェリル
10.ブジー
11.マイルストーンズ
12.リトル・ウィリー・リープス
13.ハーフ・ネルソン
14.シッピン・アット・ベルズ
15.アナザー・ヘア・ドゥ
16.ブルーバード
17.クラウンスタンス
18.バード・ゲッツ・ザ・ワーム
19.バルバドス
20.アー・リュー・チャ
21.コンステレイション
22.パーカーズ・ムード
23.パハプス
24.マーマデューク
25.スティープルチェイス
26.メリー・ゴー・ラウンド





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この記事へのコメント

2006年03月19日 05:09
昨日はお店の前まで来たのですが,誰もお客さんがいなく,気が引けて,帰りました(笑)。
初リーダー:マイルスは己の道を進みはじめましたが,やはりパーカーですよね。かっこえー。ただビバップ聴いていくと,暗黒面の深みにはまり(笑),社会復帰辛くなるのは私だけでしょうか。音楽は麻薬ですね。
2006年03月19日 21:36
やっぱり、私はハード・バップ期が好きかな~
「ワーキン」「スティーミン」「リラクシン」「クッキン」この辺りが面子も含め好きです。
マニアではないので、パーカーはもちろん「ナウズ・ザ・タイム」のみです。
2006年03月19日 23:33
「JAZZをベスト盤で聴いて何が悪い」協会・東アジア統括部長の名盤!です。
しかしマイルスはオリジナルで聴きたいところ。
でも2枚しか持っていません。
『カインド・オブ・ブルー』には感動しましたが、次何を聴けばいいか分りません。

チャーリー・パーカーは聴いたことないです。
前から興味あるんですが。。
レンタル行ってベスト借りてこよっ!
2006年03月20日 00:12
>NAKAさんへ

わたしも「今日は誰もこないなー、やっぱパーカーのせいだろうか・・・」なんて考えてました(笑)。

>ビバップ聴いていくと,暗黒面の深みにはまり(笑),社会復帰辛くなる

その気持ちわかります。パーカー聴きながら、うす暗~い部屋で、バーボンでも飲んで煙草ふかしてると(今は煙草止めてますが)、自分がハードボイルド小説の主人公になったような錯覚に陥ります。世界中の悲しみを一身に背負った人生を送っているような(笑)。

レイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」「さらば愛しき人よ」とか、あのへんのミステリ小説が結構好きでして。

そんな気持ちになっちゃうと、日常生活に戻るのが難しいですよね。
2006年03月20日 00:16
>所長さんへ

一番「ジャズらしいジャズ」といった感じがしますね。王道です。「ing4部作」では「リラクシン」が、いい雰囲気で好きです。

フィリー・ジョー、ポール・チェンバース、レッド・ガーランドのリズム隊もいいですが、やっぱコルトレーンがいると雰囲気が引き締まって良いですね。
2006年03月20日 00:25
>名盤!さん

ジャズに限らず、ベスト盤は重宝してます。
まずは、ベスト借りて。気に入ったら、オリジナル買っていく。わたしもずっとそういう聴き方で趣味を拡げてきました。

パーカーはだいまつさんも書いてましたが、イーストウッド監督の映画「バード」を観て、また興味が深まりました。音楽だけでなくその存在というか、持ってる雰囲気がロック的???でカッコいいと思います。





yumi
2006年03月30日 19:16
チャーリーパーカーは、
私も大好きです、いきつけのカフェバーで
よくかかっています。ドラマ高校教師で
テーマ曲になっていた森田童子の歌で
「僕らの失敗」の歌詞に出てきます。
それで知りました。
2006年04月02日 03:06
>yumiさん

こんばんは。「穴金日記」ではいつもありがとうございます。こちらはお初でしたよね。

パーカーがいつもかかっているカフェバー、硬派ですね(笑)。カフェバーというよりジャズ喫茶みたいですね。カッコイイかも。

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