個人的ディラン最高傑作『激しい雨』。

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BOB DYLAN / HARD RAIN


カナ「聴きました?ディランの新作。」

タク「んー、まだ。」

カナ「これがまたなかなかロマンティックなアルバムで。前作に続いてまた全米ナンバーワン獲ったんですよ。」

タク「すごいな。」

カナ「ねえ。ディランの全キャリアのうちで、全米ナンバーワンになったアルバムがこれで5枚。そのうち2枚がここ最近の2作品ですから。セールス的には完全に第2の黄金時代ですよ。」

タク「第1の黄金時代は60年代?『追憶のハイウェイ61』とか。」

カナ「それが意外なことに全米3位。シングルの『ライク・ア・ローリング・ストーン』が1位になったからそんな印象があるけど。で、『ブロンド・オン・ブロンド』が9位。今じゃ圧倒的な名盤といわれてるけど、セールス的にはそれほどいってない。」

タク「へー。ま、60年代はライバルが他にたくさんいたってのもあるだろうけどね。」

カナ「セールス的にピークがくるのは74年~76年で、『プラネット・ウェイヴズ』が初の全米1位、次の『血の轍』、『欲望』と連続して1位。このへんがピーク。その後セールスはだんだん落ちていって、最悪なのが80年代。1枚もトップ10入りアルバムが出なかった。」

タク「80年代はやることなすこと裏目に出てる感じがしたな。時代がディランに合わなかったというか。」

カナ「で、90年代に入って「ブートレッグ・シリーズ」の発表とか、デビュー30周年記念コンサートとかあって徐々に再評価の気運が高まって、97年の『タイム・アウト・オブ・マインド』で18年ぶりのトップ10入り。このアルバムはグラミーの年間最優秀アルバム賞も獲得してる。その後2001年の『ラヴ・アンド・セフト』がトップ5入り、2006年の『モダン・タイムス』が何と30年ぶりのナンバーワン、そして今回の『トゥゲザー・スルー・ライフ』が連続ナンバーワン。しかも今回は全英でもナンバーワン。」

タク「まさに今が旬って感じだな(笑)。ディランがかー。」

カナ「常に変化しながら守りに入らず、未だに世界中をツアーでバリバリ回って、しかも作品は売れ売れ。この現役感は一体何なんでしょう。」

タク「存在自体が別格の領域だよね、ディランの場合。何やっても許されるというか。ロックを文学とか芸術といった領域まで引き上げた偉人でもあるし、誰でも楽しめるエンターテイメントから小難しいものに変えた張本人でもあるよね。」

カナ「(笑)まあロックの表現の幅を確実に押し広げた人ですよね。でも、最近は割とシンプルな作風というか、ブルース、フォーク、カントリーといった豊穣なアメリカ伝統音楽の語り部といった佇まいで。歌詞は相変わらず難解ですけど、今度のニューアルバムなんてある意味ラブソング集だし。」

タク「でも俺はやっぱ昔の方が好きだな。最近のディランはあの声がダメで。」

カナ「念仏系(笑)。」

タク「だから今日は、アレ、マスターの一番好きなあのライブ盤が聴きたいなー。」

カナ「アレですね。ちょっと待って下さい。ゴソゴソ・・・」



~ボブ・ディラン 『激しい雨』 が流れる~



タク「くーっ、このイントロ。これがたまらんなーっ。」

カナ「ダラダラとチューニングしてると思ったら突然始まるところ、何度聴いても鳥肌立ちますねー!」

タク「よく聴かないと『マギーズ・ファーム』ってわからないところも・・・。」

カナ「ぜんっぜんスタジオ盤と違う(笑)。アレンジ全く変えて何の曲だかわからないってのは今のライヴでも変わらない。」

タク「この『マギーズ・ファーム』のアレンジはメチャクチャかっこいいよ!ロックだよねー。次の『いつもの朝に』も・・・」

カナ「これも全然違う。このアレンジは何といってもスカーレット・リベラのバイオリン・ソロ!」

タク「泣ける。」

カナ「このバイオリン・ソロは本当に大好き。ディランのねちっこい歌い方も最高。」

タク「ドサ回りみたいな荒い感じのバンドがまたいいよね。」

カナ「この前のザ・バンドとのライヴ盤もいいんだけど、カッチリしてるから幾分古くさく聴こえるかな?このローリング・サンダー・レビューの時のバンドはある意味パンクとかパブ・ロックっぽくて、荒っぽいんだけどスリルがある。いつ取り出しても新鮮!」

タク「昔の曲は大胆にアレンジしてるから新曲みたいだし、また直近の『血の轍』や『欲望』からの曲がいい曲だからね~。」

カナ「さっき言ったセールス的にはピークの頃ですよね。この頃の曲はホント全部いい。『嵐からの隠れ場所』のディランの荒っぽいスライド!!このライヴのラストにも入ってる『愚かな風』とか。もう最高。」

タク「なんか詩人のギンズバーグが、新しいアメリカ国家にすべきと言ったとか。」

カナ「おれたちはばかだぜ。まだ息のしかたを知ってるだけで奇蹟だぜ。・・・パンクだなあ。」

タク「このライヴでのディランの歌い方は力強いよ。どのアルバムより一番ロックしてる。」



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上の2枚で伝説の「ローリング・サンダー・レビュー」の全貌がつかめる。正直、上の2つのライブ盤があるからこそ、自分のフェイバリット・アーティストの中にディランが入ってると言えるほど個人的には重要な作品。自分が求めるロッカーとしてのカッコいいディランは全部この中に入ってる。



90年代以降の充実したディランの創作活動ぶりが窺える、ブートレッグ・シリーズ第8弾。念仏系の時代(笑)だけれど、とてもいいです。
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2作連続全米ナンバーワンを獲得した最新作。文中では聴いたようなことを書いたけど、実はまだ聴いてねえ(笑)。
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この記事へのコメント

ぜん
2009年06月01日 06:32
私も「血の轍」以降がリアルタイムだったので、今でもそのへんのディランに一番思い入れがあります。といっても当時はたくさんいるミュージシャンの一人という認識しかなくて、ディランの本当の凄さがわかって、「好き好き大好き」状態になったのは割と近年になってからです。
最近の「念仏系」(?笑)を聴いていると、もう好きなことしかやらないんだろうな~と思ってしまいます。あ、案外キライではありません。
substitute
2009年06月01日 22:06
こんばんは。
僕もコレ、とても好きです。
最近の新作、ブートレグシリーズどころか、80年代以降のディランは殆ど追えてないので、全キャリアを俯瞰してませんが、Planet Waves ~ Haed Rainの頃の音が好みです。
The Bandや、Emmylouさんとの絡み時期ですね。
2009年06月02日 04:53
>ぜんさん

念仏系(笑)、わたしも嫌いじゃないです。クセになる要素が確かにあります。あと最近のディランのルックスも好きです。特に一時期の、チョビひげに山高帽に杖・・・あのオオイズミアキラのようなチョビひげはディラン以外は誰も似合いません。つくづく変な人。
2009年06月02日 04:58
>substituteさん

こんばんは。『欲望』ではエミルーさんの美しいハモリが満喫できますよね。ザ・バンドといえば、『ラスト・ワルツ』で最後の方にディランが登場した時、それまでリラックスしてたバンドのメンバーに一瞬緊張が走るとこが好きです。特にロビー・ロバートソンがディランとアイコンタクトして、次にどの曲が始まるのか測っているような表情・・・本当に曲目リストがなくてアドリブだったんだなあというのがよくわかります。
2009年06月04日 20:34
ディランは聴いてないアルバムも結構あって
その念仏系が苦手なんですよ~

コンサートでディランが出てくるとあのオーラが
すごいんですよね(^^♪
2009年06月05日 02:49
>まりさん

念仏系は好き嫌いが分かれるとこですよね(笑)。

最近はコンサートではギターさえ弾かないらしいですよ、ディラン。ずっとキーボード弾いてるらしいです。たまにハーモニカ吹いて、そこで観客がウォーッてなるそうです(笑)。

「ディランのコンサートは予測できないことを予測しろ」
という名言があります。まさに・・・。常に進化しつづけるじーさんです。

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